今回の制作テーマは“Ancient Culture”
ホモサピエンスが30万年前に誕生して以来、人類は狩猟採集で命からがら生計を立てていました。やがて人類は農耕の技術を確立し安定して食料を確保することができると、その土地に人が集まりヒエラルキーが生まれ文明が起こります。生命の安全欲求が十分に満たされた状態になると、時間や富に余裕が生まれた人々は人生を謳歌するべく遊び始めます。つまり文明の後を追うように文化が生まれ育まれるのです。そこで西村織物は伝統絹織物を通して古代人の文化をテーマに作品を制作いたしました。

着物は日本の伝統文化から生まれた民族衣装です。帯はお太鼓結というかたちで、一枚のアートを背に纏っているのです。

幸せの青いカバ

古代エジプト中王国時代（紀元前2040～1782頃）の副葬品で出土したファイアンス釉の青いカバの陶器。現代人にもうけそうなユニークな見た目のエジプトのゆるキャラはなんと約3700年以上前につくられた代物です。　青の色はナイル川を表しているといわれ、カバの四方には神聖な花であるロータス（蓮）が描かれています。古代エジプトでは破壊と創造の両面を持ち合わせ生命の源であるナイルの恵みの使者として尊ばれました。世界の美術館でも人気者で、メトロポリタン美術館ではウイリアム、ルーブルではヒッポ、日本の中近東文化センターではルリカという愛称で呼ばれています。時空や国境を超越する古代エジプト人の文化的な知性とセンスを感じることができます。

“現代人の心をもつかむゆるキャラ”

緻密な意匠表現に注目

織り技法では博多織伝統七品目の重ね織（風通）と絵緯博多の二品目の織物を駆使し、伝統の技と革新的なクリエーションを両立しています。