【リヨン花文 -花と葉―】
フランス南西部に位置する都市リヨン。中世より始まった絹織物産地で、十八世紀には王侯貴族の衣装やインテリアを優雅に飾りました。リヨンを流れるローヌ・ソーヌ二つの大河に挟まれた半島にあるリヨン織物装飾芸術博物館。織物芸術の分野ではヨーロッパ最大級の規模を誇るミュゼでもあります。
この度、西村織物ではその収蔵品である十七世紀のシルクテキスタイルに魅せられ、博多織伝統の本袋帯で意匠制作し織り成しました。織技法は総浮けによる経浮唐織組織で、通常一寸間に緯糸を百越以上打込み、一万五千本以上の経糸で織り上げることにより絹の放つ光沢の美しさと結び心地の良さを実現しました。さらに一二〇〇本もの紋針を駆使した浮経による意匠は精緻の極みであります。織職人がひと杼、ひと杼、丁寧に織り上げた“リョン花文”のこだわりと織り味をどうぞお楽しみください。